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法人経理の月次決算の進め方|締め作業の手順とチェックリスト

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月次決算を早く正確に終わらせるには、経理担当者が仕訳を急いで入力するだけでは不十分です。

実務で問題になりやすいのは、各担当者から必要な資料が集まらないことや、売上・支払いの内容を現場が正確に把握していないことです。

また、資料が間に合わないため概算額を仮入力した場合、その後の本入力時に仮仕訳を削除し忘れることもあります。

この記事では、法人経理の実務経験をもとに、月次決算の基本的な進め方と確認ポイントを解説します。

※会社の規模、取引内容、会計方針などによって必要な処理は異なります。個別の税務判断については、税理士などの専門家へご確認ください。

月次決算とは

月次決算とは、毎月の取引を集計し、その月の会社の経営状況を確認できる状態にする作業です。

年次決算ほど厳密な処理を毎月行うとは限りませんが、売上、仕入れ、人件費、経費、預金残高などを整理することで、会社の利益や資金の状況を早い段階で把握できます。

月次決算の主な目的は、次のとおりです。

  • 売上や利益の推移を確認する
  • 予算と実績の差を確認する
  • 資金繰りを把握する
  • 入力漏れや重複計上を早期に発見する
  • 年次決算の作業負担を軽くする
  • 経営者が今後の判断を行うための資料を作る

数字が完成するまでに時間がかかると、経営判断に使える時期も遅くなります。そのため、正確性を保ちながら可能な限り早く締めることが重要です。

月次決算は何営業日で締めるべきか

月次決算の締め日は、会社の規模や取引量、管理体制によって異なります。

一律の正解はありませんが、まずは翌月10営業日前後で締められる体制を目標にするとよいでしょう。すでに10営業日程度で締められている場合は、正確性を維持しながら段階的な早期化を検討します。

ただし、締め日だけを早めても、内容が不正確では月次決算を行う意味が薄れてしまいます。

特に注意したいのが、資料不足の状態で行った仮入力です。予算や見込額を仮計上した場合は、本来の金額が判明した時点で差し替える必要があります。

仮仕訳を残したまま本仕訳も入力すると、費用や売上が二重に計上される可能性があります。

月次決算が遅れる主な原因

必要な資料が経理に届かない

月次決算では、請求書、経費精算書、勤怠資料、給与データ、通帳データなど、社内外からさまざまな資料を集めます。

経理側が入力できる状態でも、元になる資料が届かなければ処理を進められません。

「届いた資料から入力する」だけでは締め日が安定しないため、資料ごとに提出期限と担当者を決める必要があります。

担当者が取引内容を把握していない

請求書が経理へ届いても、それだけで内容が正しいとは限りません。

売上請求書であれば、契約内容、請求金額、請求対象期間などを営業担当者が確認する必要があります。支払請求書についても、発注内容や納品状況を把握している担当者による確認が必要です。

経理担当者だけで、すべての取引内容が正しいかを判断することは困難です。

月次決算を正確に行うには、取引を行った担当者が内容を確認し、経理が会計処理を確認するという役割分担が欠かせません。

確認事項への回答が遅い

領収書だけでは内容が判断できない経費や、用途が不明な支払いについて、経営者や担当者への確認が必要になる場合があります。

回答が遅れると月次決算全体が止まるため、締め日を優先して仮入力することもあります。

仮入力自体が悪いわけではありません。しかし、仮入力した仕訳を識別できる状態にしていないと、本入力時の削除や修正を忘れやすくなります。

月次決算の基本的な進め方

1.預金データを取得する

最初に通帳を記帳するか、インターネットバンキングから入出金データを取得します。

クラウド会計ソフトなどと金融機関を連携している場合は、データが正しく取り込まれているか確認します。

確認する主な項目は次のとおりです。

  • 対象月の入出金がすべて反映されているか
  • 二重に取り込まれたデータがないか
  • 未処理の明細が残っていないか
  • 会計帳簿の残高と実際の預金残高が一致しているか

2.売上請求書を発行・送付する

売上の請求内容を担当者に確認し、請求書を発行します。

経理担当者は請求書を作成できますが、契約内容や作業の完了状況まですべて把握しているとは限りません。金額や請求対象について、営業担当者などによる事前確認の仕組みを作ることが重要です。

請求書を送付した後は、売上計上と請求書の内容が一致しているか確認します。

3.支払請求書を取りまとめる

取引先から届いた請求書を集め、支払日や支払方法ごとに整理します。

電子メール、郵送、請求書受領サービスなど、複数の経路で請求書が届く場合は、保管場所をできるだけ一本化します。

確認する主な項目は次のとおりです。

  • 請求先や請求月が正しいか
  • 発注・納品内容と一致しているか
  • 同じ請求書が重複していないか
  • 支払期限を過ぎていないか
  • 担当者の確認が完了しているか

4.給与データを確認する

給与計算の結果を受け取り、会計へ反映する金額を確認します。

給与、各種手当、社会保険料、源泉徴収額、会社負担分などについて、前月と大きく変動している項目がないか確認します。

変動がある場合は、入退社、昇給、賞与、欠勤など、理由を確認できる状態にしておきます。

5.仕訳を入力する

資料がそろったものから仕訳を入力します。

会計ソフトへデータを取り込む場合も、取り込んだだけで完了とは考えず、勘定科目、税区分、取引先、部門、摘要などを確認します。

毎月発生する取引は、仕訳辞書や定型仕訳を利用すると効率化できます。ただし、前月の仕訳をそのまま複製すると、金額や対象月の修正漏れが起きやすいため注意が必要です。

6.残高と増減を確認する

入力後は、試算表や補助元帳を使って内容を確認します。

単に貸借が一致しているだけでなく、次の点を確認します。

  • 預金残高が実際の残高と一致しているか
  • 売掛金や買掛金に長期間残っているものがないか
  • 仮払金や仮受金の内容が明確になっているか
  • 前月と比較して大きく増減した科目がないか
  • 通常は使用しない勘定科目に金額が入っていないか
  • 同じ取引が重複して計上されていないか
  • 部門や取引先の設定漏れがないか
  • 仮入力した仕訳が残っていないか

仮入力の削除漏れを防ぐ方法

資料が間に合わない場合、予算額や前月実績などを使って仮入力することがあります。

仮入力した仕訳は、会計ソフトのラベル、タグ、付箋、メモなどの機能を使って識別すると分かりやすくなります。

例えば、仮入力した仕訳に共通して「仮計上」「要確認」などのラベルを付けておけば、月次決算の確認時に対象仕訳を検索できます。本来の金額が判明した後は、仮仕訳の修正または削除と同時にラベルも解除します。

運用ルールは、次のように統一すると管理しやすくなります。

  • 仮入力時に必ず共通のラベルを付ける
  • 摘要に確認内容や確認先を記載する
  • 本来の資料が届く期限を決める
  • 月次決算の確定前にラベル付き仕訳を検索する
  • 本入力後に仮仕訳が残っていないことを確認する

会計ソフトにラベル機能などがない場合や、確認事項が多い場合は、別途管理表を作成します。

管理項目 記載内容
計上月 仮入力した対象月
勘定科目 使用した勘定科目
仮入力額 概算で計上した金額
確認先 社長・営業担当者など
確認期限 回答を受ける期限
本資料の受領日 請求書などが届いた日
対応状況 未確認・差替済み・削除済み
仕訳番号 会計ソフトで検索するための番号

ラベル機能と管理表を併用すると、会計データ上の確認と、社内への問い合わせ状況の両方を管理できます。

月次決算を早くするためのポイント

資料の提出期限を明確にする

「できるだけ早く提出してください」ではなく、「毎月○営業日の正午まで」のように具体的な期限を決めます。

誰が何を確認するか決める

取引内容は担当部署、会計処理は経理というように、確認責任を明確にします。

未提出資料を一覧化する

資料を受け取るたびに確認するのではなく、必要資料と受領状況を一覧にします。誰から何が届いていないか分かれば、催促も行いやすくなります。

毎月同じ順序で処理する

作業手順を固定し、チェックリストに沿って進めると、担当者の記憶に頼らず処理できます。

前月比較と予実比較を行う

前月や予算と大きく異なる項目を確認すると、入力漏れ、桁間違い、重複計上などを発見しやすくなります。

ただし、予算上の仮計上と実績の本計上が混在している場合は、差額の理由だけでなく、仮仕訳が適切に取り消されているかも確認します。

月次決算チェックリスト

  • 通帳または預金データを取得した
  • 預金残高を照合した
  • 売上請求書を発行・送付した
  • 売上の計上漏れを確認した
  • 支払請求書を取りまとめた
  • 請求内容について担当者の確認を受けた
  • 給与データを確認した
  • 必要な仕訳を入力または取り込んだ
  • 売掛金・買掛金の残高を確認した
  • 仮払金・仮受金の内容を確認した
  • 前月比較を行った
  • 予算と実績を比較した
  • 「仮計上」「要確認」ラベルの付いた仕訳を検索した
  • 本入力後に仮仕訳とラベルが残っていないことを確認した
  • 未提出資料と未確認事項を一覧化した
  • 月次資料を経営者へ報告した

まとめ

月次決算を早く正確に行うためには、経理担当者の入力速度だけでなく、資料回収と社内の確認体制を整える必要があります。

特に重要なのは、取引を行った担当者が請求内容を確認することと、資料不足による仮入力を識別できる状態にしておくことです。

まずは翌月10営業日前後で安定して締められる体制を作り、チェックリストを使いながら少しずつ早期化していきましょう。

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